なは。 寝台特急「なは」です。 以前より訪問したいと思っていた「肥薩おれんじ鉄道」ですが、なにしろ八代〜川内間116キロ。 各駅停車では前後のJR鹿児島本線区間を含めると4時間以上が必要で、40分足らずで走破する新幹線とまるで比較になりません。 一応出張の「途中」つまり「勤務中」。あまり遊び歩く訳にはゆきません。 というわけで、時間捻出の方法は、夜行列車の利用です。 寝台特急「なは」。 鳥栖まで弊結の「あかつき」と合わせ、関西と九州を結ぶ寝台特急はとうとう昨年からこれだけになってしまいました。 「あかつき」レガートシート。 上の写真は「なは」、今回の行き先は「鹿児島」。 しかしながら乗車したのは、鹿児島本線熊本行きの「なは」ではなく、長崎行き「あかつき」編成のレガートシートです。 寝台列車とは言いながら1両だけ連結された普通車指定席。 座席車ながら夜行バスと比較すると格段にゆとりがあり、機会があれば愛用しています。 これまでの鹿児島行きにも過去2回(あかつきとなは)乗車したことがあったのですが、今回は何と、ほかにも乗客がいました! 地元駅で求めた指定席の座席番号は10号車7C。 4番までが女性専用席なのを割り引いても、少なくとも3人(私を含め)の乗客がいるであろうことが事前に判っていました。 福山より乗車時点で乗客は5名。 全員が海側(瀬戸内側)C席に前後して着席です。 しかし、ゆったりしていると思っていたレガートシート、体は楽ですが、倒れる角度が大きいのが災いして、前の席がリクライニングをフルに倒すと目の前にかぶさってくる感じで、視覚的に少々窮屈です。 さらに後ろの席がシートを倒していないと、前の席を上から完全に覗き込むようになってしまいます。 ヨーロッパのシティナイトラインの2等座席車のように、頭上にフードがあるような感じのシートであれば、プライバシーは格段に向上はするのでしょうが。 今回は他の乗客がいるため、ストロボたいての車内撮影は自粛です。 最後尾のレディースシート(男子禁制、但し本日乗客なし)後ろの化粧室だけ拝見させてもらうことにします。 本HP「TRAVEL」の「鹿児島行き」(2年と少々前)にも同じ写真がありますが。 下関駅。 未明の下関駅で、機関車交換です。 ここまで牽引してきたEF66-42号機、到着後すぐに開放され、前方に逃げてゆきます。 寝台車に乗車していれば、中途半端な下関で起きるのは悔しいのですが、本日は(本日も?)レガート乗車。 せっかくですから下関駅と門司駅での機関車交換を見学することにします。 どうものんびり走っているような気がしてならない寝台列車ですが、機関車交換は手際よく、短時間で済ませます。 予め最後尾の10号車から最前部まで移動していないと、到着後ホームを歩いたのではEF66解放は見られないところでした。 関門トンネル。 下関から門司まで一駅間は、専用の機関車EF81が牽引します。 本日の牽引は410号機です。 長大トンネルの先行電化と海底トンネルの塩害対策という特殊性のため、昔からこの区間のみ(貨物は前後のターミナルまでを含め)専用の機関車に交換されていた関門トンネルですが、今となっては非効率です。 旅客列車の本数も多くないことだし、西日本の機関車が不足しているわけでもないので、交直流機関車で本州から門司まで直通すれば良いのではと思うのですが。 関門間はJR九州のエリアのため、下関から九州内直通の方が現実的でしょうか。 もっともJR九州では交直流機関車は不足気味? 門司駅。 古い佇まいの門司駅で、機関車交換停車中の「なは」「あかつき」です。 10月の早朝ではまだ周囲は真っ暗ですが、機関車交換だけでなくちゃんと客扱いもしています。 若干の下車客も見られました。 さすがにデジタル一眼の威力で、簡単にコマ毎の増感ができますから、暗いホーム端での手持ち撮影でも、こんな感じで仕上がります。 フィルムカメラでは出来なかった芸当です。 ED76。 EF81は関門間一駅間で役目を終え、門司からは九州内のスタンダード機、ED76に交換です。 本日は94号機。 前半分の「あかつき」を牽引して長崎まで走破します。 折り返し運用のため、後部の客車連結側にもヘッドマークが取り付けられたままでした。 鳥栖駅。 鳥栖駅です。 ここで長崎行き「あかつき」と熊本行き「なは」が分離されます。 わずかの停車作業時間の間に、博多発の後続電車特急「リレーつばめ51号」が追いつき、「なは」を追い抜いてゆきます。 一方、「あかつき」の方も、終点長崎到着を目の前にして、後続の電車特急「かもめ1号」に追い抜かれてしまいます。 熊本、長崎着とももう少し早い時間の方が(あくまで終着駅では)利便性は良いと思うのですが、足の遅い客車特急の現実ではあります。 さて、「あかつき」編成に乗車したのは、もちろんレガートシートが「あかつき」編成だけのせいもありますが、この後のスケジュール上、熊本まで「なは」に乗車していると間に合わず、どうせ博多かこの「鳥栖」で「つばめリレー51号」に乗り換える必要があるためです。 新八代。 新八代駅です。 すでにこの駅では何度も在来線⇔新幹線の乗換えを行ったことがあります。 ホーム両面に新在両列車が到着するため、乗換えはすこぶる便利ですが、乗客が多いときには乗換え時間が短いため少々気ぜわしい感じです。 また、今は双方からの乗換え客が混在しないようなダイヤになっているためスムーズですが、遅れが生じた場合はどうなっているのでしょうか。 通常ならここから新幹線乗換えで、40分もすれば鹿児島に到着なのですが、本日はこれから在来線で八代へ向かい、そこから「肥薩おれんじ鉄道」に乗車、という段取りになっています。 八代駅。 JRの各駅停車に乗り継いで一駅、八代駅に到着です。 ここから先は肥薩おれんじ鉄道、今回の回り道の目的です。(もちろん本来の目的は仕事です。) 第三セクター鉄道の乗換駅は、構造によりホームをそのまま進行できるものと、一度駅舎を出て別の駅舎に回らなければならない場合がありますが、ここ八代駅は、ホームをそのまま直進できます。 途中改札はあり、この先の切符は所持していないのですが、乗換え時間がわずかで購入する間がありません。 今回はJRの切符を見せてそのまま通してもらうことにします。 ローカル第三セクターになったとは言え、朝の通学列車は結構乗車しています。 が、そんな混雑はわずか一駅間だけ。 そこから先は2両編成の定員を完全に持て余していました。 田ノ浦。 旧鹿児島本線の景勝地、田ノ浦付近を走行する「肥薩おれんじ鉄道」の気動車です。 少し雲が多めですが、車窓の海岸線が綺麗です。 しかし線路のほうは、海岸線にあわせて右へ左へと急なカーブの連続です。 これまで「つばめ」や「有明」などに乗車したときはそれほどまでには感じなかったのですが、運転席に正面風景まで見通せるせいか、大きなカントの傾きがよくわかります。 水平線に対して、車体の窓枠の傾きは相当なものです。 田ノ浦(2)。 列車後方の風景です。 「肥薩おれんじ鉄道」では経費節減のため全列車気動車で運転されていますが、この区間はJR貨物の列車が電気機関車牽引で乗り入れてくるため、電化設備は従来のままです。 線路がきれいにカーブを描いて、快適に走っているように思えますが、実はこの気動車、あまり足は速くありません。 駅での発車の加速も今ひとつで、最近の強力なエンジンを積んだ気動車の中では、ややパワーを抑えているようです。 もっとも勾配区間の殆どない海岸沿いの路線ですから、無駄なパワーは必要ないのかもしれませんが。 米ノ津・交換待ち。 米ノ津駅で対向列車の到着を待ちます。 駅、とは言っても駅舎はご覧の通りの小さな、しかし新しいものだけ。 敷地内には、かつて駅舎があったであろう「遺構」らしきものは確認できましたが。 米ノ津・交換待ち(2)。 駅舎は小さなものですが、さすがに元国鉄本線だけあって、ホームは長くまっすぐで立派です。 もっともこんなに長い旅客列車がやってくることはないので、今では「無用の長物」には違いありませんが。 新しい感じに見えるホームは、肥薩おれんじ鉄道になってからかさ上げされたもので、短い編成の列車が停車するのに必要な分だけです。 この位置の反対側のホームは、旧JR時代の低いまま、しかし撤去はされずに残されています。 米ノ津・対向列車。 反対側から八代行きの列車がやってきました。 こちらの列車と並んで停車するのではなく、少しずれた位置に停車です。 長い交換設備は貨物列車があるためそのままですが、1両か2両編成の気動車では、長さを完全に持て余しています。 出水駅。 出水駅です。 「肥薩おれんじ鉄道」の基地ですが、不釣合いな大きな設備がそのまま使用されています。 九州新幹線との接続駅でもあり、写真左手には新幹線の高架駅がそびえています。 八代からここまで2両編成でやって来た列車は、ここ出水で後部1両が切り離されて、終点川内までは単行運転となります。 それでも少ない乗客には十分の広さの気動車でした。 出水駅。 列車は出水駅で暫く停車します。 少々時間があるため、駅前広場と、反対側の新幹線駅を眺めて回ります。 出水駅、手前が「肥薩おれんじ鉄道」のもので、向こう側はJR旧鹿児島本線の駅舎です。 新幹線の駅の裏に隠れるような感じですが、こちら側が本来の駅正面だったはず。 しかし市街の外れに位置するため、いささか寂しい感じがします。 一方新幹線口の方も、さほど何があるわけではなく、何となくこじんまりとした印象の出水駅でした。 牛ノ浜。 再び海岸に出た列車は、牛ノ浜で暫く停車します。 休日はここで上り快速観光列車「潮彩」と交換するのですが、本日は平日のため、ただ発車時刻を待つばかりです。 老練の運転士も乗客も、しばしホームに出て休憩です。 ところでこの列車、進行右側の線に入っています。 「肥薩おれんじ鉄道」では、単線区間で時々右側の線に進入するのが見られました。 窓から見ていると、脱線ポイントがある側に逆から進入してゆくため、何か変な感じです。 見たところポイントを固定して反対側の線を封鎖しているわけでもなさそうだったのですが。 終点川内駅。 八代駅を発車して途中交換待ちの休憩を含め3時間、116キロを走破してようやく終点川内に到着しました。 肥薩おれんじ鉄道の終点、川内駅です。 この駅も途中に改札はありますが、そのまま同一ホームを進むとJR鹿児島本線の列車に乗車できます。 同鉄道専用の出口改札はどうやらないらしく、下車する際に、JR改札を通るための「下車証明書」を手渡されました。 (時間がなかったため出口の確認まではしませんでしたが。) 全線通して2550円。実は全線の片道運賃よりも、乗り降り自由の「一日乗車券」のほうがちょっぴり安くてお得で、記念の切符も手元に残る「肥薩おれんじ鉄道」でした。 817系。 さて、川内から鹿児島中央までは、ふたたびJRに戻ります。 特定特急券区間のため、新幹線乗車という手もあるのですが、時間のかかりついでに鹿児島中央まで各駅停車で行くことにします。 列車は817系の2両編成。 鹿児島方面から到着の列車が短時間でそのまま折り返します。 どうもあまり色気のない、ちょっと目にはロングシートの車両と区別がつきにくい車両です。 817系(2)。 機能優先のアルミ構造の車体ですが、座席は最近のJR九州が多用している木製です。 黒い枕と腰当は、転換クロスシートの割にはまあまあしっくりとくるのですが、木製の座面の上に張られたクッションはかなり薄く、あまり長距離の乗車に耐えられる座り心地ではありません。 鹿児島市電。 翌朝の鹿児島中央駅前です。 快晴です。 新幹線開通で建て替わり、すっかり変わってしまった鹿児島中央駅(旧西鹿児島駅)周辺です。 最新の鹿児島市電(鹿児島市交通局)の車両はオリジナルのカラーですが、いつのまにか上部に広告が表示されていました。 流行の低床車は運転席が分離した独特の3連接風ですが、実は運転台ばかりが広く、全長の割には客室定員が多くありません。 設計にもう一ひねり欲しいところではあります。
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